再☆煩悩の赴くままに~日々是反省~

自省を込めて貴女に贈る鎮魂歌

1129:理想的な睡眠をしていると寿命が延びる説

gigazine.net

どちらかというと、ショートスリーパーである。

関西の大物お笑い芸人ほどではないが、若かりし頃の過酷な昼夜を問わぬ長時間労働で鍛えられたせいか、日本人の平均的な睡眠時間である6時間も眠る日はとんと少ない。平日の睡眠時間は4時間半あれば十分だし、最低でも3時間くらいあれば翌日も普通に勤務はできる。

さすがに50歳を過ぎた頃から、突如電池が切れたように週末に爆睡してしまう回数は増えている。それでももう若くはないので9時間も眠れば自然と目が覚めてしまう。10時間以上寝ることなんてここ数年ない。

ところが、件の「理想的な睡眠」を摂ろうとすると、どうしてもある程度の睡眠時間が必要なことはわかっている。

理想的な睡眠とは?

「理想的な睡眠」とは、おそらく「質の良い睡眠を摂ること」と同義であると理解する。たとえ睡眠時間だけが長かろうと、レム睡眠とノンレム睡眠を交互にタイミングよく繰り返していなければ「質の良い睡眠」を摂ることはできない。1時間半の周期を何回も繰り返すことで、効率も質も良い睡眠を摂ることができるのだろう。

いま現在も目覚まし時計代わりに使い続けているiPhoneアプリによると、レム睡眠とノンレム睡眠を1時間半のタームで6回ほど繰り返す9時間以上の睡眠を摂った時に初めて、このアプリの言うところの「睡眠の質」なるものが100%に到達することが過去に何度か実証されている。

9時間以下であると80%に到達するかしないかが普通であるが、ごく稀に全体を通して深い眠りの割合が多いと9時間以下でも100%になる場合もある。しかし、たとえ9時間以上だとしても必ず100%になるとは限らない。ただ単に長く眠ればいいというワケでもないらしい。

ついでなのでここで現状を把握しておくことにする。

やはりもとより睡眠時間は長くはない方のようで、日本人の平均に比べても短いことが週刊レポートから確認できる。これはほぼ毎週のことで、たとえ週末に9時間以上の睡眠を土日連続で摂ったとしても、日本人平均を下回る。いかに平日に寝ていないか、ということなのだろう。例の「睡眠の質」もあまりいい方ではないらしい。睡眠時間が平均を下回っているのだから当たり前と言えばそうなのだが、こちらも平均以下であまりよろしくはないらしい。

睡眠時間が長くとも肝心な睡眠の質が悪ければ、それは燃費の悪い自動車と一緒で、無駄に何か(時間だったり労力だったり)を浪費していることにもなるし、回復に必要なエネルギーを得るために睡眠以外の余計な何か(薬だったり栄養ドリンクだったり)を摂取する必要が出てくることにもなりかねない。要するに、いまの状態はあまりよろしくない、ということになる。

一方で、「眠気がある時には、10〜15分程度でも仮眠を摂れば頭はスッキリするし眠気も取れる」などと言われていたりもする。居眠り運転は非常に危険なので、高速道路のサービスエリアで休憩がてらに一時的に仮眠を摂った方がいい、なんてのはよく聞く話だ。これは短時間であっても効率よく質の良い睡眠を摂れば事足りるという話で、先の「長く眠れば睡眠の質も上がる」という話とは矛盾することにもなるが、短時間でも眠りが深ければ深いほど「質の高い睡眠」を摂ることになるのだろうか?

どちらにも共通しているのは「質の高い睡眠を摂る」ということであり、これがここで言うところの「理想的な睡眠」であることに間違いはない。

この「睡眠の質」が高くなる眠りをなるべく多く摂れば、理想的な睡眠を摂っていることにもなり、寿命が延びるというのだろう。

だが、ここで一つの疑問にぶつかることになる。

寿命を延ばすために理想の睡眠を多く摂るということは?

極論からすると、「毎日9時間以上のなるべく100%に近い質の高い睡眠を摂り続けることが長生きの秘訣」ということになるが、それって結局のところ「伸びた寿命の分だけ寝てる」ってことになりゃしないだろうか?

質の高い睡眠を摂るために普段よりも長い時間を睡眠に充てたとして、それで寿命が多少は延びたとしてもだ、その延びた分の寿命が質の高い睡眠を摂るために伸ばした睡眠時間を越えなければ、結局は睡眠以外の覚醒して活動している時間がほぼニアリーイコールになり、詰まるところ「長生きはしているけれど何かに充てられる活動時間はそれほど変わらない」ってことにもなりかねなくて、それって本当に寿命が延びたって言えるんだろうか?

まぁ、要するに意地悪以外の何ものでもないんだが、「そりゃあ質の高い睡眠をたくさん摂った方が身体にいいに決まってるわなー、で、それが何か?」と思ってしまっていたりもするもんで、少しばかり穿った見方をしてみようと思い立ってのテーマアップだったというわけである。

長生きしたけりゃ寝てりゃあいいし、それで大成できたらもっといい

他にもこんな話もあるみたいで、

www.lifehacker.jp

モーレツサラリーマンを全否定しようと、労働時間を少しでも短くしようとする厚労省紛いの謎の組織の差し金なのか入れ知恵なのか知らないが、働きたくはないけれど出世だけはしたい輩の自尊心をこちょこちょとくすぐるような話もあるらしい。

この手の話が心にちっとも響かないのにはワケがある。これらは全て「平均値よりも上を目指すことが良いことだ」という観念に囚われ過ぎている話ばかりだからだ。

「よく眠る」が何時間以上の睡眠を指しているのか知らないが、「あーよく眠った」と思えて質も良い睡眠さえ摂れていれば、別に長い時間を睡眠に充てる必要などない。よく寝て大成したのは今やメジャーリーガーで大活躍する二刀流の野球選手くらいだろう。やはり身体が資本となるアスリートは、ゴールデンエイジを過ぎた頃から筋力をつけてたくさん食べて長く眠ることが重要であることを見事に体現してくれている。10等身はあろうかと思えるあの体躯は、高校時代の監督が依怙贔屓してまで身体が大きく強い選手に育てようとした賜物以外の何ものでもない。指導者としての鏡であると同時に、大成した彼は世界をリードする野球人のリーダーたる資格を持つ唯一無二の存在となりつつある。本当に素晴らしい。

一方で、サラリーマンや知的労働者と言われる人たちについても、「よく眠ると優れたリーダーになれる」というのだろうか。少しばかり眉唾ものである。個人事業主のような一人親方であるならば、自分一人だけが頼りの綱であるからして、睡眠に多くの時間を充てようが充てまいが自由であるだろう。だが、「リーダー」がその業界の第一人者や世界のトップを指す意味でないならば、複数人で構成されるチームの「リーダー」ということになる。他人を扱い指示を出したり相談を受けたりする人は、寝る間を惜しんで仕事に没頭するイメージが強い。しかもチームのメンバーとのコミュニケーションを蔑ろにはできないであろうからして、それ相応の時間や労力をそちらに向かざるを得ないことは容易に想像できる。ノミニケーションを全肯定するつもりはないが、仕事以外の場面においても、それなりの時間を割いてチームマネジメントをしなければならないだろうし、一人で物思いに耽る時間も必要になるんじゃなかろうか。仮に家庭を築いている人であるならば、家族との食事や団欒なども疎かにはできないはず。そう考えると、果たして「良いリーダーは本当によく眠るんだろうか?」と思わざるを得ない。

まぁ、リーダーは常にお疲れのご様子なので、きちんと睡眠を摂ってリフレッシュした方がいいに決まってはいるのだが。