再☆煩悩の赴くままに~日々是反省~

自省を込めて貴女に贈る鎮魂歌

1146:当たり前が当たり前じゃない世界

gendai.mediaいやいや、ちょっと待ってよ。

申し訳ないけれど、「遅刻しないこと」というか「業務開始時間までに出社して、定時まで働くこと」が前提の給料なもんで、「遅刻しないこと」はそれほど希少でもなんでもないし、何ならスキルなんて大層なものでもない。リンク先にも書いてあるが、遅刻したら給料はカットされるし、それが度重なって起きるようなら立派な怠慢でクビを覚悟しなければならないはずなんだが、いったいぜんたいどうなったらそんな発想になるのかまったくもって理解できない。たぶん、そんなことはどこの企業の就業規則に書いてあるだろうし、それって入社のときに説明されたはずじゃ...えっ?「そんな説明、真面目に聞くわけないから、知らない」って。あら、そう。そいつは残念だよ。

なーんてやり取りが実際にあったかどうだかは知らないが、これまで我々が常識とも思ってすらいなかった、語らずともみなまで言わずとも理解できていたことですら、ちゃんとイチから説明しなければならないほどレベルも次元も低い世の中になっちまったんすかね。いや、説明しても理解していただけるかどうかすら怪しい。どうしたニッポン。

そうかー、そうだったのかー。いくら勉強しても英語で会話することがおぼつかない自分を卑下していたけれど、こうやって日本語使って文章を書くことができるだけでも優秀なんかなー。「ちょっと、こうして日本語使ってそこそこの文章を紡ぎ出すことができるなんて、希少なスキルじゃなーい。給料上げてもらえるんじゃない?」とでも言いたくなってくる。ま、勝手に駄文を垂れ流しているだけだから、誰も相手にしてくれないことなんてとっくに理解しているから、これ以上何も言わないけどさ。それにここは会社の業務でも何でもないただの趣味だしな。

それにしても、この件の若者、つまり「遅刻をしないこと=希少なスキル」ということを心の底から信じてやまない若者が、これまでどんな環境で育ってきたのか、非常に興味が湧くなー。

あれか、実の両親も遅刻の常習犯で、周囲の人間に比べれば遅刻をしないオレって立派なもんだ、っていう発想なのかな。それとも、中学とか高校とかのクラスのほぼ全員が遅刻の常習犯で、授業を始めることすらままならない学級崩壊の中でひとり教室に間に合っていた生徒さんなんだろうか。遅刻をしないことを「希少なスキル」って言っている時点で、きっと100人中99人が常に遅刻している中で、たったひとりちゃんと時間までに来ている自分はさぞかし立派な人格者、とでも思っているんだろうか。

いやいや、それっていったいどんな環境やねん。その学校、偏差値どのくらいなんだよ。

仮に、そんな環境で育ったのが事実なら、一応ちゃんとした社会人になってサラリーマンにもなれて遅刻しないで会社に出社している時点で相当エラい気がしないでもないが、それをネタに給料アップの交渉をしだす時点で荒唐無稽とした言いようがない。まったくもってストーリーの展開が唐突過ぎて読めないし、どこかで伏線を張っていたのかもしれないが、そんなものに誰が気づきますかいな。

会社への帰属意識の低下が招いた顛末だとかリンク先には書いてあるが、ロイヤリティとかエンゲージメントなんて単語を使って語れる問題でもないような気がする。コロナ禍を起因としたリモートワークなどによるコミュニケーションの希薄化が彼らの人間性を変えてしまったとか言いたいんだろうけど、そもそも社会性がなさすぎやしないだろうか。

gendai.media「若者」に対するカウンターカルチャーとしての「50代の管理職」っていう筋書きは理解できなくはないが、そういう対立構造って安易すぎじゃね?

昭和世代は慣習やルールが厳しい世の中で育ったから、今の若い世代との価値観が異なる古い人間だって言いたいのかもしれないが、「遅刻しないことは希少なスキル」って突拍子もない妄言が許容される世の中なのかっつーと、そんなこたぁねーんじゃないですかね。

百歩譲ったとして、始業時刻までに出社して定時まで休まずに働かなくとも、より価値観の高い創造性は発揮できるに違いないさ。在宅勤務でもある程度の成果は出せるって証明されてしまったんだから、今さら古い慣習が絶対だとは言い切れないのは理解している。ただ、それも出社せず自宅でひとりで人より優れた成果を出せることを証明してから始まる交渉事なんじゃないだろうか。決して「遅刻をしないことが希少なスキル」であるわけではない。そんなのはいつの時代も「当たり前」の話だ。そこは揺るがない。人一倍優れた成果を出しているのであれば、遅刻しようが早退しようが許されるだろうし、なんなら遅刻とか早退なんている概念すらない勤務形態だって適用されるはずだ。

やっぱり、順番が違うんじゃないか。今あるルールをちゃんと守ることができて、やることやってから自己主張しろよってな話だ。