再☆煩悩の赴くままに~日々是反省~

自省を込めて貴女に贈る鎮魂歌

1156:常勝軍団なんてあるわけない。

祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり

沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす

驕れる者も久しからず ただ春の夢のごとし

猛き者もついには滅びぬ ひとえに風の前の塵に同じ

有名な「平家物語」の序文である。

中学生の時に国語の授業で暗唱テストがあり、その時に必死になって覚えたせいか、未だにサラで言うことができる。暗唱のために記憶したのはこれの更に先までで、確か「遠く異朝をとぶらえば、シンのチョウコウ、漢のオウモウ、リョウのシュウイ、唐のロクサン...」と続くはず。だが、漢字がわからん。最終的には、「近く本朝を伺うに...」のところまでを覚えたはずなのだが、その辺りの記憶が曖昧でなかなか出てこない。

こういう昔のどうでもいい記憶が妙に鮮明なことがたまにある。

例えば、機動戦士ガンダムのキャラクターやモビルスーツの名前など、覚えていなくても生きていくのになーんも困らないはずなのに、ふとした瞬間にスラスラと出てくるから不思議だ。子供の頃から何度も何度も繰り返し観てきたからか、脳内に刷り込まれており、一生懸命暗記しようなんて気はサラサラなかったにも関わらず、何の苦労もなく、スラスラと出てきてしまう。会社の派遣社員のおねえさんの旦那さんもガンダム好きで、最近ガンプラを買って作っているというから写真を見せてもらった。見覚えがあるモビルスーツだったので「これってTV放送後のガンプラブームの時にあった、MSV(モビルスーツバリエーション)シリーズに出てきたキシリア・ザビ配下の対ニュータイプ部隊のキマイラ隊隊長、ジョニー・ライデン少佐の搭乗機、高機動型ザクⅡ、型式番号MS-06-R2だよね?」って言ったら「え?なんて?」と思いっきり困惑させてドン引きされてしまった。後日、旦那さんに聞いたらその通りだと、お前の会社のその人すげーっていう返答があり、更にびっくりされた、というか呆れられてしまった。別にすごくはねーし。

こういう時に「なんて無駄な脳細胞の使い方をしているんだろう」と思ってしまうのだが、老人がボケても昔のことはよく覚えているってのはこういうことなんだろうなんて思って悲しくなってしまったりもする。

いや、今回語りたかったのはそういうことじゃない。最初の平家物語に戻ろう。

平家物語の序文を暗記した頃から思っていることがある。それはこの序文に同じ意味が何度か繰り返されているということ。

「盛者必衰」「驕れる者久しからず」「猛き者もついには滅びぬ」と3度も同じ意味の文章が立て続けに続く。いずれも「栄枯盛衰」のことを言っている。栄えたり衰えたりを繰り返す世の儚さを表現している。

そう、つまりは一時的に栄華を迎えたとしても、その後には必ず終わりが来て、違う誰かがまた世の覇権を奪取するのが「世の常」でありそれが「理(ことわり)」であるということだ。言い得て妙である。はるか昔の世の中から、それが常識とされていたということであろう。

もちろん、人には寿命というものがあり、永遠に生き続ける人など存在しない。ただ、DNAというか遺伝子というか血というものを受け継ぐことができるので、長くこの世の中を支配する一族みたいなものを築くことは不可能ではない。だが、そうなった試しがないというのは歴史が見事に表してくれている。

日本の天皇家は世界で一番長く続く王族だという話があるが、天皇家が崇め奉られる存在であったとしても、日本を長く支配していたかというとそうではない時代もある。あの徳川家でさえ300年に満たない時代しか栄華を極めていないのだ。世界史は得意ではないが、ローマ帝国だろうが秦の始皇帝だろうがみな同じで、一時的に世を支配することはできたとしても、それが永遠に続くことはない。そう考えると、やはりこの世は「盛者必衰の理」のままに成り立ち、今後も未来永劫、永遠にこの世を治める人や一族が出てくることもない、ということなのだろう。

だからこそ、一度その権利を手中に収めた輩は、この世の春と言わんばかりに思いのままに傍若無人を繰り返し、行き急ぐように私利私欲を満たそうとするのだろうか。必ず崩壊すると解っているからそうなるのか、そうなるから必ず滅びるのか。鶏と卵の話のように因果関係がよくわからない。むずかしい。

つまり、勝ち続けるってことがいかに難しいってことなのだろう。

だから我がヤクルトスワローズが一昨年は日本一、昨年は惜しくも日本シリーズオリックスに負け、そして今年はセ・リーグBクラスに沈むことになったということなのか。今年のドラフトでは欲しい選手もなかなか取れなかったし...。低迷が続きそうないやな予感が...。

っつーことで、阪神タイガースファンのみなさま、38年ぶりの日本一、誠におめでとうございます。

オリックス・バファローズファンのみなさま、3年連続日本シリーズ進出は立派でございます。

ほんと、うらやましいかぎり...。